いえのはなし
家の話

冒頭文

四民 士農工商という語を日本で用い初めたのはいつ頃のことであろうか。天保八年にできた『燕居(えんきょ)雑話』という書物には、「世俗よく士農工商ということをいえども何に出でたることを知らず云々」の話が載っている。この説によると、支那ではごく古く『淮南子(えなんじ)』の斉俗訓にも『漢書』の食貨志(しょっかし)にも、いわゆる四民の別が説いてあって、その範囲がほぼ吾々の士農工商と同じであるというが、これ

文字遣い

新字新仮名

初出

「奉公」奉公会、1918(大正7)年1月~4月

底本

  • 柳田國男全集20
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1990(平成2)年7月31日