しゅみのこうじょう ――せいねんがくせいのために――
趣味の向上 ――青年学生のために――

冒頭文

「それは意見の相違だ」と互に頑張りあつて、相下らない。こんな事は世間の政治家の間などには、珍らしくも無くなつて仕舞つたが、「趣味の相違」といふ捨科白を美術や文學などに心を寄せる人々との間にも折々聞かされるので、其度毎に私はいやな思ひをする。世の中がデモクラチックになつて行くに從つて、意見の相違も重大さを増して來るであらうし、文藝上の事も畢竟趣味の相違に、あらゆる議論が歸着するかもしれぬが、それは究

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「興風」1924(大正13)年12月

底本

  • 會津八一全集 第七卷
  • 中央公論社
  • 1982(昭和57)年4月25日