“しきけんはつどう”をかかざるのき
“指揮権発動”を書かざるの記

冒頭文

昨年の秋のある夜であった。文藝春秋編集部のU君が突然電話をかけてきて、これからすぐ上がるが、お眼にかかれるかとのことだった。U君は当時私が半年ばかり文藝春秋に連載している原稿の担当責任者なので、来訪を待つことにしたが、いつもならばこの時刻には文春の第一線の若い人々が築地河岸の「はせ川」という腰かけのうまいもの屋へ行って一杯傾けながら一日の労を癒している時刻なので、はて、今日は何か急用かなと、私は漠

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋」文藝春秋新社、1960(昭和35)年5月号

底本

  • 「文藝春秋」にみる昭和史 第二巻
  • 文藝春秋
  • 1988(昭和63)年2月25日