みょうじのはなし
名字の話

冒頭文

日本はきわめて名字の数の多い国 多くの日本人が想像するように、昔というものが現代と無関係のものでないということを証明するがために、名字の話をしようと思う。 我々が十人寄れば多くの場合には十の名字があって、鈴木とか渡辺とかありふれた名は別として、その他の人にあっては、旅行先または交際場裡において同じ名字の人に出合えば、お互いに珍しがるのが普通でありましょう。すなわち日本人の名字の数はそれほど変

文字遣い

新字新仮名

初出

「斯民家庭 第二編第七号、第九号、第一〇号、第一一号」報徳会、1911(明治44)年7月1日、9月1日、10月1日、11月1日

底本

  • 柳田國男全集20
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1990(平成2)年7月31日