たけのさとびと〔に〕
竹の里人〔二〕

冒頭文

○「歌よみに與ふる書」といふのは十回にわたつたのであつたが、自分にはいかにも愉快でたまらないので丁寧に切り拔いておいて頻りに人にも見せびらかした。偶々これに異議を挾むものでもあれば其人がいかにも惡らしくつて溜らぬ位であつた。その頃大分「日本」紙上の歌論は喧びすしかつたが、他の歌よみ專門の連中はうんだとも潰れたとも云はない。たまになぜ默つて居るのだと人から揶揄はれても自分は歌よみではないといふやうな

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「馬醉木 第九號」1904(明治37)年2月27日

底本

  • 長塚節全集 第五巻
  • 春陽堂書店
  • 1978(昭和53)年11月30日