りゅうたんだん
竜潭譚

冒頭文

躑躅か丘  鎮守の社  かくれあそび  おう魔が時  大沼  五位鷺  九ツ谺  渡船  ふるさと  千呪陀羅尼 躑躅か丘 日は午(ご)なり。あらら木(ぎ)のたらたら坂(ざか)に樹の蔭もなし。寺の門、植木屋の庭、花屋の店など、坂下を挟(さしはさ)みて町の入口にはあたれど、のぼるに従いて、ただ畑(はた)ばかりとなれり。番小屋めきたるもの小だかき処に見ゆ。谷には菜の花残りたり。路の右左、躑躅(つ

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸倶楽部」1896(明治29)年11月

底本

  • 泉鏡花集成3
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年1月24日