たけのさとびと〔いち〕
竹の里人〔一〕

冒頭文

○先生と自分との間柄は漸く三十三年からのことで極めてあつけないことであつた。それも自分がいつも京住まひで三日あげずに先生のもとへ往復が出來るならば格別であるが何をいふにも交通の不便な土地なので、割合に近い所であり乍ら思ふやうには訪問することも出來なかつた。併し年に四五回位は上京して時には一ヶ月も滯在したこともあつて、勿論その間といふものは殆んど隔日位に詰め掛けて、隨分と小言もいはれたことであるから

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「馬醉木 第七號」1903(明治36)年12月23日

底本

  • 長塚節全集 第五巻
  • 春陽堂書店
  • 1978(昭和53)年11月30日