しゃせいだんぺん |
| 写生断片 |
冒頭文
余は天然を酷愛す。故に余が製作は常に天然と相離るゝこと能はず。此に掲ぐるものは長き文章の一部にして我が郷の田野の寫生なり。一は其冐頭にして二は其結末なり。素より斷片なり、一篇の文章としては見るべからず。余は近時本誌の文章の天然描寫の一段に於て多大の進境を認むると共に喜悦の念禁ぜざるものあり。天然必しも悉く美なるに非ず。然れども他の美ならずとする處のものを以て自らは之を美なりと感ずるに何の妨かあらむ
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「茨城縣立下妻中學校雜誌 爲櫻 第三十五號」1909(明治42)年1月25日
底本
- 長塚節全集 第五巻
- 春陽堂書店
- 1978(昭和53)年11月30日