ふるいけのくのべん
古池の句の弁

冒頭文

客あり。我草廬(そうろ)を敲(たた)きて俳諧を談ず。問ふて曰く。 古池や蛙飛びこむ水の音    芭蕉の一句は古今の傑作として人口に膾炙(かいしゃ)する所、馬丁走卒もなほかつこれを知る。しかもその意義を問へば一人のこれを説明する者あるなし。今これが説明を聴くを得んか。 答へて曰く、古池の句の意義は一句の表面に現れたるだけの意義にして、復(また)他に意義なる者なし。しかるに俗宗匠輩がこの句に深遠な

文字遣い

新字旧仮名

初出

「ほとゝぎす 第二巻第一号、第二号」1898(明治31)年10月、11月

底本

  • 俳諧大要
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1955(昭和30)年5月5日