ゆきわりそうのはな
雪割草の花

冒頭文

もう一月ばかり前から、私の庭の、日当りのいい一隅で、雪割草がかれんな花を咲かせている。白いのも、赤いのも、みんな元気よく、あたたかい日の光を受けると頭をもたげ、雪なんぞ降るといかにもしょげたように、縮みあがる。この間、よつんばいになってかいでみたら、かすかな芳香を感じた。蝶もあぶもいないのに、こんな花を咲かせて、どうするつもりなのか、見当もつかぬが、あるいは神の摂理とかいうものが作用して、これでも

文字遣い

新字新仮名

初出

「家事と衛生」家事衛生研究会、1927(昭和2)年4月

底本

  • 日本山岳名著全集8
  • あかね書房
  • 1962(昭和37)年11月25日