ぜにがたへいじとりものひかえ 321 はしばのにんぎょ |
| 銭形平次捕物控 321 橋場の人魚 |
冒頭文
一 八五郎の顔の広さ、足まめに江戸中を駆け廻って、いたるところから、珍奇なニュースを仕入れて来るのでした。 江戸の新聞は落首と悪刷(あくず)りであったように、江戸の諜報(ちょうほう)機関は斯(こ)う言った早耳と井戸端会議と、そして年中どこかで開かれている、寄合い事であったのです。 「お早うございます。良い陽気になりましたね、親分」 八五郎といえども、腹がいっぱいで、でっかい紙入に、二つ三つ
文字遣い
新字新仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1954(昭和29)年6月号
底本
- 橋の上の女 ――銭形平次傑作選②
- 潮出版社
- 1992(平成4)年12月15日