ぜにがたへいじとりものひかえ 349 ふえふきへいじろう
銭形平次捕物控 349 笛吹兵二郎

冒頭文

一 「親分、世の中に怪談(けえだん)というものはあるでしょうか」 八五郎はまた、途方もないことを持込んでくるのです。五月も過ぎたある日、青葉によし、初鰹(はつがつお)によし、そして時鳥(ほととぎす)によしという結構な日をぼんやり籠(こも)っていると、ときどきはこんな災難にも逢わなければならぬ平次です。 「ケエダン——それはなんだい、まだ食べたことはないが——」「怪談ですよ、心細いな、こいつは食べ

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1955(昭和30)年7月号

底本

  • 橋の上の女 ――銭形平次傑作選②
  • 潮出版社
  • 1992(平成4)年12月15日