ぜにがたへいじとりものひかえ 242 こしぬけやはち
銭形平次捕物控 242 腰抜け彌八

冒頭文

【第一回】 一 「親分、近頃は滅多に両国へも行きませんね」 八五郎は相変らず何んかネタを持って来た様子です。立てっ続けに煙草を五、六服、鉄拐(てっかい)仙人のように、小鼻をふくらませて天井を睨(にら)んで、さてと言った調子でプレリュードに取かかるのです。 「行かないよ。俺が両国へ行くのを、お静がひどく嫌がるんだ。昔の朋輩が多勢居るところへ、亭主野郎が十手なんか持って行くのが気がさすんだろう」

文字遣い

新字新仮名

初出

「サンデー毎日」1950(昭和25)年11月8日号~19日号

底本

  • 銭形平次捕物控 猿回し
  • 毎日新聞社
  • 1999(平成11)年6月10日