うもんとりものちょう 19 けさぎりたゆう |
右門捕物帖 19 袈裟切り太夫 |
冒頭文
1 ——このたびはその第十九番てがら。 前回の名月騒動が、あのとおりあっけなさすぎるほどぞうさなくかたづきましたので、その埋め合わせというわけでもありますまいが、事の端を発しましたのは、あれから五日とたたないまもなくでした。もちろん旧暦ですから、九月も二十日(はつか)を越えると、大江戸もこれからがもみじの秋で、上野のお山の枝々こずえに、ちらほらとにしき模様が見えるようになるといっし
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 右門捕物帖(二)
- 春陽文庫、春陽堂書店
- 1982(昭和57)年9月15日