サニンのたいど
サニンの態度

冒頭文

どんな性格の男に敬愛を捧げるかと云ふ問に対して理想を云へば、何れ鐘太鼓でさがしても、見つからぬやうなせひぜひ虫のいゝ事を並べても見られませうが、先(ま)づ手つ取り早く彼(あ)のやうな男がと云ふやうなのを云へば、これも実在の男ではありませんが、アルツバシエエフによつて描かれた、サニンが好きです。何物にも脅やかされず、どんな場合にも、大手を拡げて思ひのまゝに振舞ふ。一寸(ちょっと)誰にも真似の出来ない

文字遣い

新字旧仮名

初出

「中外 第一巻第一号」1917(大正6)年10月創刊号

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日