わたしのあったおとこのひとびと(のよりしゅういち、なかむらこげついんしょうろく) |
| 妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録) |
冒頭文
野依秀一氏 この人は、思つたよりも底の浅い人です。正直で小胆な処があります。子供らしい可愛さがあります。此人は何時でも予想外な突飛さで人をおどかして、その隙に飛び込んで来やうとする人のやうに思はれます。殊にその突飛さが非常に不自然なと云ふ範囲を何処までも出ないので、少し落ちついてあしらつてゐますと、馬鹿気きつた空々しい処があります。 思つたことを遠慮なく云ふことは気持のいゝ事です。野依(のよ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「中央公論 第三一年第三号」1916(大正5)年3月1日
底本
- 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
- 學藝書林
- 2000(平成12)年5月31日