ウォーレンふじんとそのむすめ
ウォーレン夫人とその娘

冒頭文

脚本を読んで見て私は殆んど手の出しやうのないのに驚いてしまつた。とても自分の貧弱な頭ではそれ〴〵に立派な解釈をつけて批評して行くことは六ヶ(むずか)しい、と云つてやらないわけにも行かないし困つた〳〵と云ひ暮しても其日数もなくなつてしまつた。 「あんまり六ヶしく考へすぎるんだよ」といふ様な注意を傍らで聞くとなほイラ〳〵して来てどうしても纏(まと)めることが出来ない。もう〆切の日は少しの余裕もなく迫

文字遣い

新字旧仮名

初出

「青鞜 第四巻第一号附録」1914(大正3)年1月号

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1——『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日