わたしがげんざいのたちば
私が現在の立場

冒頭文

「もう少し、しつかりした、婦人運動が具体的に表はれなくてはならない。」と云ふやうなことをあちらこちらで私はこの頃聞かされる。これは、少しでも婦人の味方と自ら許す男子の大方の人にあきたりなく思はれる点があるからかもしれない。 凡(すべ)ての事の効果を見なければ行動の如何を認めない群集に向つて、自分の同意を表する婦人達の行動が決して彼等の考へてゐるやうな不真面目なものでないことを認めさせやうとすれば、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新潮 第二三巻第一号(通巻第一三〇号)」1915(大正4)年7月号

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日