らいちょうしの『しょじょのしんかち』をよみて
らいてう氏の『処女の真価値』を読みて

冒頭文

「青鞜」二月号に私は処女の価値については全然わからないと明言して置いた。実際私には何(ど)うしても処女そのものにそんなに重大な価値を見出すことは出来ないでゐた。そのくせ私自身は殆んど「本能的に」としか答へられないその処女を矢張りどうしても大事がらずにはゐられない。私はその矛盾について可なり考へさゝれた。併(しか)しそれは結局いくらいろ〳〵な理屈を考へて見ても自分の真の愛人との中にお互自身より他の何

文字遣い

新字旧仮名

初出

「第三帝国 第三五号」1915(大正4)年3月20日

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日