へんしゅうしつより (せんきゅうひゃくじゅうさんねんしちがつごう)
編輯室より (一九一三年七月号)

冒頭文

□此の間中央新聞の白田天坡といふ記者が事務所に来て皆に会ひ度いと云つたさうです。丁度面会日でもなんでもなかつて、小母さん一人だつたので断りますと、その記者は玄関先きに立つて、いつまでも一人で勝手な事をシヤベツて出て行つたさうです。その日私は頭痛がして臥(ふせ)つてゐますと、矢張りその記者が来ました。勿論私も断りました。らいてうもるすで会はなかつたさうです。それで、ちつとも種がとれなかつたわけです。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「青鞜 第三巻第七号」1913(大正2)年7月号

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日