ふじんのはんせいをのぞむ
婦人の反省を望む

冒頭文

『女賢(さか)しうして牛売り損ふ』或はまた、『女の智恵は猿智恵』等と昔から日本の婦人は一方ならず今日迄、侮辱され続けて来ました。そして昔とちがつて今日では婦人も相当な教育の道が開かれて多くの教養ある婦人が輩出するに至つてもなをこの侮辱は続けられてまゐりました、私たちはそれを残念にも口惜しくも思ひますけれど、見渡した処僅かな人々をのぞくの他はまだ私共は大ぴらにこの侮辱を否定する訳けにはまゐりません。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「第三帝国 第三八号」1915(大正4)年4月25日

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日