なかむらこげつさまへ
中村孤月様へ

冒頭文

私は、あなたにはもう一切手紙を書くまいと思つてゐました。けれども廿五日の第三帝国を読みまして、我慢してゐられなくなりました。私は昨夜それを読みました。私はその事についてぢつと考へつゞけて居ります。それで他の事は何にも書けません。それでこの手紙を書く事にしました。もしこれが第三帝国の原稿として不都合ならば致し方はありませんから一と通りお読み下すつたらお返し下さい。この次にはすこし実のあるものを書くこ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「第三帝国 第四二号」1915(大正4)年6月5日

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日