どくしゃしょしに
読者諸氏に

冒頭文

私は自分で編輯するこの雑誌を、出来る丈(だ)け、立派なものにしたいと思ひます。けれども如何に、私が自惚(うぬぼ)れて見ましても本当に貧弱な内容しか持つことが出来ません。私一個の微力では勿論どうしても読者諸氏を満足させるやうな大家の執筆を乞ふことは出来ません。目次にならんだ人達はまだ世間の表に立つてゐない人の方が多数を占めて居ます。私は毎号々々かうして貧弱だとかつまらないとか云ふ非難を耳にしながらも

文字遣い

新字旧仮名

初出

「青鞜 第六巻第一号」1916(大正5)年1月号

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日