ぜにがたへいじとりものひかえ 008 すずをしたうおんな
銭形平次捕物控 008 鈴を慕う女

冒頭文

一 「八、あれを跟(つ)けてみな」「へエ——」「逃がしちやならねえ、相手は細くねえぞ」「あの七つ下りの浪人者ですかい」「馬鹿ツ、あれは何處かの手習師匠(てならひししやう)で、佛樣のやうな武家だ。俺の言ふのは、その先へ行く娘のことだ」「へエ——、あの美しい新造(しんぞ)が曲者なんですかい。驚いたな」「靜かに物を言へ、人が聞いてるぜ」 錢形の平次と子分のガラツ八は、その頃繁昌した、下谷の徳藏稻荷(いな

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1931(昭和6)年11月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十四卷 金の茶釜
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年9月10日