しじゅうねんまえのふくろだのたき
四十年前の袋田の瀑

冒頭文

勿来関(なこそのせき)趾をたずね、鵜子岬に遊び、日和山に登って、漁船に賑う平潟の港内や、暮れ行く太平洋の怒濤を飽かず眺めた後、湾に臨んだ宿屋の楼上に一夜を明かして、翌日仙台からはるばると辿って来た海岸を離れ、小雨そぼふる中を棚倉道に沿うて歩き出した。袋田の瀑を探りたかったからである。 この瀑に就ては『日本名勝地誌』で其(その)壮観は華厳の瀑に優るものがあるとのことを知っていたので、最初は海岸伝

文字遣い

新字新仮名

初出

「旅」1936(昭和11)年12月

底本

  • 山の憶い出 下  
  • 平凡社ライブラリー、平凡社
  • 1999(平成11)年7月15日