たまなぐるま
玉菜ぐるま

冒頭文

欧羅巴(ヨーロッパ)には、骨骼(こっかく)の逞(たくま)しい、実に大きな馬がいる。僕は仏蘭西(フランス)に上陸するや、直(す)ぐその大きな馬に気づいた。この馬は、欧羅巴の至るところで働いている。その骨組が巌丈で、大きな図体(ずうたい)は、駈競(かけくらべ)をする馬などと相対せしめるなら、その心持が勿体(もったい)ないほど違うのであった。 僕はいまだ童子(どうじ)で、生れた家の庭隈(にわくま)で

文字遣い

新字新仮名

初出

「改造」1925(大正14)年6月号

底本

  • 斎藤茂吉随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年10月16日