いわのきよこしの『そうせいとかきょ』について
岩野清子氏の『双棲と寡居』について

冒頭文

私は中央公論十月号に掲載された『双棲と寡居』を読んで黙つてはゐられないやうな気がした。 私がそれを最初に読んだときは可なり無理な理屈があると云ふことに気がついたに過ぎなかつた。そうして再読三読して見て私はそれがどうしても無理おしつけの後からつけた理屈でうづめられてゐることを見逃すことは出来なかつた。尤(もっと)も清子氏について全く未知ではない私は氏がどんな些細な行動にも何かしら後からきつと何と

文字遣い

新字旧仮名

初出

「第三帝国 第五六号」1915(大正4)年11月1日

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日