いとこに |
| 従妹に |
冒頭文
今、私の頭の中で二つのものが縺(もつ)れ合つて私をいろいろに迷はして居ります。 私は今まで斯(こ)うして幾度きみちやんに手紙を書きかけたか知れないのです。けれども私の書いたものが果して正当に何の誤もなくきみちやんに理解されるかどうかとそれを考へては、若(も)しきみちやんに理解が出来なかつたときにはきみちやんの為めにもまた私の為にも大変不幸だと思はれますので止めました。けれども、どうしても書きたく
文字遣い
新字旧仮名
初出
「青鞜 第四巻第三号」1914(大正3)年3月号
底本
- 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
- 學藝書林
- 2000(平成12)年5月31日