あたらしきふじんのだんせいかん
新らしき婦人の男性観

冒頭文

世間には可成に女を知りぬいたつもりで、かれこれと女を批評する男が尠(すくな)くないやうですが、それが大抵九分九厘迄は当つてゐないので、こちらの耳へは寧(むし)ろ滑稽に聞える位なものです。男は独りよがりを楽むものと思はれます。 男は寛大で、万事が大まかです。随つて綜合的な点に於て女は男に及ばないでせうが、部分的な細かい洞察は、とても女に勝てますまいと思はれます。 女は綜合的で無いかわりに部分

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新婦人 第四年一月之巻」1914(大正3)年1月

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年5月31日