あおやまきくえさまへ |
| 青山菊栄様へ |
冒頭文
青山菊栄(きくえ)様 あなたの公開状は本当に、私には有りがたいものでした。私は幾度も〳〵読み返しました。勿論、不服な事もありますがそれはおい〳〵申上げる事にして、先(ま)づ公娼廃止についてのあなたの考へ方は正当です。私はそう云ふ方面に全く無智なのです。私はまださういふ詳しい事を調べるまでに手が届かなかつたのです。その点では私はあゝ云ふ事を云ふ資格は全くなかつたのかも知れません。あれは私は或田舎
文字遣い
新字旧仮名
初出
「青鞜 第六巻第一号」1916(大正5)年1月号
底本
- 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
- 學藝書林
- 2000(平成12)年5月31日