ふうしだいがくせい
諷刺大学生

冒頭文

ある夜一人の見も知らぬ学生が訪ねて来た、 洋服の袖口のところが破れてゐて 小さな穴から下着の縞模様をのぞかせてゐた、 学生は——諷刺文学万歳!と叫んで そして私に握手を求めた ——曙ですよ、  あなたのお仕事の性質は、  日本に諷刺文学が  とにかく真実に起つたといふことは  決定的に我々の勝です、 彼はかう言つて沈黙した、 ところで我々はそれから、 ぺちやくちやしやべつた

文字遣い

新字旧仮名

初出

「槐」1939(昭和14)年8月

底本

  • 新版・小熊秀雄全集第一巻
  • 創樹社
  • 1990(平成2)年11月15日