きのうはあらしきょうはせいてん
きのふは嵐けふは晴天

冒頭文

舞台 周囲が岩石ばかりの大谿谷の底を想像させる所、極度に晴れ渡つた早春の朝、遠くから太鼓のにぶい音と、タンバリンの低い音が断続的に聞えてくる、舞台ボンヤリとして何か間のぬけた感。 ○いざり一、(空虚な舞台へ這ひ出てくる、舞台の中央でものうく、哀調を帯びて、間ののびた声で)右や左の旦那さま、(急速に)世界の果ての、(真に迫つて)果ての果ての、果てにいたるまでの旦那さま方 ○いざり二、(ものうく、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新劇人」1936(昭和11)年4月

底本

  • 新版・小熊秀雄全集第一巻
  • 創樹社
  • 1990(平成2)年11月15日