わかれみち |
| わかれ道 |
冒頭文
上 お京さん居ますかと窓の戸の外に来て、ことことと羽目を敲(たた)く音のするに、誰れだえ、もう寐(ね)てしまつたから明日(あした)来ておくれと嘘(うそ)を言へば、寐たつて宜(い)いやね、起きて明けておくんなさい、傘屋(かさや)の吉(きち)だよ、己(お)れだよと少し高く言へば、嫌(いや)な子だねこんな遅くに何を言ひに来たか、又御餅(おかちん)のおねだりか、と笑つて、今あけるよ少時(しばらく)辛棒お
文字遣い
新字旧仮名
初出
「国民之友 二百七十七号」1896(明治29)年1月4日
底本
- にごりえ・たけくらべ
- 新潮文庫、新潮社
- 1949(昭和24)年6月30日