くがつついたち
九月一日

冒頭文

一 八月三十一日の夕方、朔日(ついたち)から学校の始まるちいさい子供達を連れて、主人夫婦は東京に帰る事になり、由井ヶ浜の曲淵(まがりぶち)の別荘には、九人の人数が残る事になった。長男の一郎と、長女の甲子と、次女の乙子と、夫人の里の遠縁の者の娘で甲子や乙子の世話をする養子(ようこ)と、一郎の同級生の澤と、女中の延(のぶ)と鉄と、別荘番のじいやとばあやがいた。外(ほか)には英国種のポインタアの年をと

文字遣い

新字新仮名

初出

「随筆」1924(大正13)年1月号

底本

  • 銀座復興 他三篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2012(平成24)年3月16日