はたもとたいくつおとこ 04 だいよんわ きょうへのぼったたいくつおとこ
旗本退屈男 04 第四話 京へ上った退屈男

冒頭文

一 その第四話です。 第三話において物語ったごとく、少しばかり人を斬り、それゆえに少し憂欝になって、その場から足のむくまま気の向くままの旅を思い立ち、江戸の町の闇から闇を縫いながら、いずこへともなく飄然(ひょうぜん)と姿を消したわが退屈男は、それから丁度十八日目の午下(ひるさが)り、霞に乗って来た男のように、ふんわりと西国(さいごく)、京の町へ現れました。 ——春、春

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 旗本退屈男
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1982(昭和57)年7月20日新装第1刷