しんしょたいこうき 11 だいじゅういちぶんさつ
新書太閤記 11 第十一分冊

冒頭文

黒石(くろいし)・白石(しろいし) ぜひもなく秀吉もまた、軍をかえして、楽田(がくでん)へひきあげた。 彼が舌を巻いて嘆じて云った——モチにも網にもかからない家康と、またふたたび、小牧(こまき)において、にらみあいの対峙(たいじ)をつづけるほかなかった。 こうして、長久手(ながくて)の一戦は、池田勝入父子のあせりに大きな敗因があったにしても、秀吉にとって、重大な黒星であったことは、いなみ得

文字遣い

新字新仮名

初出

太閤記「読売新聞」1939(昭和14)年1月1日~1945(昭和20)年8月23日<br>続太閤記「中京新聞」他複数の地方紙1949(昭和24)年

底本

  • 新書太閤記(十一)
  • 吉川英治歴史時代文庫、講談社
  • 1990(平成2)年8月11日