しんしょたいこうき 08 だいはちぶんさつ
新書太閤記 08 第八分冊

冒頭文

天機刻々(てんきこっこく) 依然。——秀吉はさっきの所に坐ったままであった。 燭(しょく)の下に、灰となった薄いものが散っていた。長谷川宗仁からの飛脚状を焼いたものと思われる。 飛脚の者を始末しおえた彦右衛門と久太郎秀政が、座にもどって来ると、間もなく、 「お見えなされました」 と、石田佐吉が、帰りを告げ、その佐吉が小姓部屋へ退(さ)がると、入れ代りに、黒田官兵衛孝高がびッこを曳きながら

文字遣い

新字新仮名

初出

太閤記「読売新聞」1939(昭和14)年1月1日~1945(昭和20)年8月23日<br>続太閤記「中京新聞」他複数の地方紙1949(昭和24)年

底本

  • 新書太閤記(八)
  • 吉川英治歴史時代文庫、講談社
  • 1990(平成2)年7月11日