しんしょたいこうき 05 だいごぶんさつ |
| 新書太閤記 05 第五分冊 |
冒頭文
とらと虎(とら) 湖畔の城は、日にまし重きをなした。長浜(ながはま)の町には、灯のかずが夜ごとのように増(ふ)えてゆく。 風土はよし、天産にはめぐまれている。しかも、城主に人を得て、安業楽土(あんぎょうらくど)の国とは、おれたちのことなれと、謳歌(おうか)せぬ領民はなかった。 ここで一応。 秀吉(ひでよし)の家族やら家中の人たちを見覚えておくのも無益でなかろう。 なぜなら、彼の幸福
文字遣い
新字新仮名
初出
太閤記「読売新聞」1939(昭和14)年1月1日~1945(昭和20)年8月23日<br>続太閤記「中京新聞」他複数の地方紙1949(昭和24)年
底本
- 新書太閤記(五)
- 吉川英治歴史時代文庫、講談社
- 1990(平成2)年6月11日