しんしょたいこうき 04 だいよんぶんさつ |
| 新書太閤記 04 第四分冊 |
冒頭文
露のひぬ間 九死に一生を得、殿軍(しんがり)の任を果して帰った将士が、京都に帰りついた第一夜の望みは、 「とにかく寝たい!」 それだけだった。 君前に報告を終って、退(さが)って来る途中からもう藤吉郎は、 「寝るのだ寝るのだ」 と、居眠りながら歩いていた。 それが、四月三十日の宵であった。翌る朝、ちょっと眼がさめたが、また寝てしまった。午(ひる)ごろ揺り起されて、粥(かゆ)を喰べたが
文字遣い
新字新仮名
初出
太閤記「読売新聞」1939(昭和14)年1月1日~1945(昭和20)年8月23日<br>続太閤記「中京新聞」他複数の地方紙1949(昭和24)年
底本
- 新書太閤記(四)
- 吉川英治歴史時代文庫、講談社
- 1990(平成2)年6月11日