りくちゅうざっき |
| 陸中雑記 |
冒頭文
御明神の風俗 所は陸中(りくちゅう)の国である。盛岡から西へ六、七里も行くであろうか。雫石(しずくいし)と呼ぶ村に入る。そこから更に進むと間もなく御明神(ごみょうじん)の村に達する。余り訪(おとな)う人もない所であるが、一度訪うた者には忘れ難い土地となろう。なぜならここに珍らしい風俗が残るからである。女たちが野良(のら)に出て働く時の身なりである。京の大原女(おはらめ)は世にも名高いが、実はそれ
文字遣い
新字新仮名
初出
「工藝 第百八号」1942(昭和17)年1月15日
底本
- 柳宗悦 民藝紀行
- 岩波文庫、岩波書店
- 1986(昭和61)年10月16日