やしゅうのいしやね
野州の石屋根

冒頭文

浜田が益子(ましこ)にいるので、年々幾度か東京との間を往復し、栃木県には親しみが出来た。それに一時は半井(なからい)知事がおられたので、県下を旅する機会が更にふえた。 宇都宮(うつのみや)から益子に、また鹿沼(かぬま)や日光に行くごとに度々私の心を惹(ひ)いた建物を見た。長屋門(ながやもん)の美しさもその一つだが、私にはことのほかその地方の民家で用いる石屋根が美しく想えた。これだけ形が確(たし

文字遣い

新字新仮名

初出

「工藝 第六十五号」1936(昭和11)年7月31日

底本

  • 柳宗悦 民藝紀行
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年10月16日