ちほうのみんげい
地方の民芸

冒頭文

多少の知識は整ってはいたが、実際何が出て来るかは知る由がなかった。私たちは日本の各地に生い育った民藝(みんげい)品を索(もと)めて長い旅を続けた。北は津軽から南は薩州にまで及んだ。もとより古い作物の探索ではない。現に何が作られているかを知るためであった。書物やら土地の人々の話で多少目当(めあて)を附(つ)けることは出来たが、吾々の目的を説くことには難儀を感じた。どの地方の人々も吾々のような客を有(

文字遣い

新字新仮名

初出

「工藝 第四十七号」1934(昭和9)年11月14日

底本

  • 柳宗悦 民藝紀行
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年10月16日