きたきゅうしゅうのかま
北九州の窯

冒頭文

もし日本の各地に散らばる窯を、地図に赤く印し附けたら、それは山を飾るつつじの如く日本を美しく彩(いろど)るであろう。その区域の普遍と種類の多様とにおいて比敵する国はおそらくないかもしれぬ。日本人はとりわけ焼物が好きである。かつてそうであるが今もなおそうである。かくまでに焼物を愛する心は、他の国で見ることができぬ。茶器の場合の如き、他国のものをも自らの創作にしたかの観がある。茶入も茶碗も日本にだけ歴

文字遣い

新字新仮名

初出

前文「西武毎日新聞 佐賀版、長崎版」1931(昭和6)年7月17日<br>高取「西武毎日新聞 佐賀版、長崎版」1931(昭和6)年7月18日<br>有田の焼物「西武毎日新聞 佐賀版、長崎版」1931(昭和6)年7月24、25日、8月1日

底本

  • 柳宗悦 民藝紀行
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年10月16日