わらうあくま
笑う悪魔

冒頭文

夜の編輯局 「勇、一杯つき合わないか、ガード下のお光っちゃんは、怨んで居たぞ、——近頃早坂さんは、何処(どこ)か良い穴が出来たんじゃないかって——」 古参の外交記者で、十年も警視庁のクラブの主にされて居る虎井満十が、編輯(へんしゅう)助手の卓(テーブル)の上へ、横合から薄禿げた頭を突き出して斯(こ)んなことを言うのです。 「冗談じゃないよ、市内版がこれから始まるんだ、電報はやけに多いし、電話は引

文字遣い

新字新仮名

初出

「ロック」筑波書林、1948(昭和23)年12月~1949(昭和24)年5月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日