みがわりのはなよめ
身代りの花嫁

冒頭文

花嫁の自動車が衝突した 「花嫁の自動車は?」「まだ来ない、どうしたのだろう、急行の発車まで、五分しかないじゃないか」「迎えに行って見ましょうか」 東京駅の待合室に集った人達は次第に募(つの)る不安に、入口からまっ暗な外を眺めたり、売店や三等待合室を覗いたりしました。 「歩廊(プラットホーム)に居るんじゃありませんか」「もう乗り込んだのかも知れませんね」 そんな事を言いながら改札口へ行った人達は、

文字遣い

新字新仮名

初出

「少女倶楽部」1934(昭和9)年1月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日