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冒頭文
覆面の女達 武蔵野の片ほとり、軒端に富士を眺めて、耳に多摩川の瀬の音を聞こうと言った場所にいとも清浄なる一宇の堂が建って居りました。 堂と言っても和洋折衷のバンガロー風のあずま家で、文化住宅に毛の生えたものに過ぎませんが、深々と堀を縄(めぐ)らし、猛犬を餌(か)い、鉄条網を張り渡して、容易に里の子も近づけず、隣組の交際もありませんが、それでも週に一度、或は月に二度位、電車で自動車で八方から集
文字遣い
新字新仮名
初出
「小説の泉」1949(昭和24)年5月
底本
- 野村胡堂探偵小説全集
- 作品社
- 2007(平成19)年4月15日