しのよこく
死の予告

冒頭文

伯爵の悩み 「千種(ちぐさ)君、暫(しば)らく此処(ここ)へ掛けたまえ、平常(ふだん)あまり人が来ないから、掃除は行届かないが、その代り此(この)辺なら決して話を人に聞かれる心配は無い」 私(わたし)のためには旧藩主に当る元伯爵海原光栄(うなばらみつえ)氏は、尊大が通りものの顔を柔げて、広大な庭園の奥の、洒落(しゃれ)た四阿(あずまや)の中に私を導き入れました。 真中(まんなか)から綺麗に分け

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸倶楽部」1929(昭和4)年7月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日