ダンスマカブル
死の舞踏

冒頭文

一 「珍らしい事があるものだネ、東京の佐良井(さがらい)から手紙が来たよ」「幽香子(ゆかこ)さんからですか」「イヤ、あの厭(いや)な亭主野郎からだ」「まあ」 愛子は、その可愛らしい眼を一杯にあけて、非難するような、だけど、少し道化たような表情を私(わたし)に見せるのでした。 長い長い演奏旅行を了(お)えて、私と、私の許婚(いいなずけ)の愛子は、ピアノを叩き過ぎて尖った神経とあわただしい旅に疲れ

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸倶楽部」1928(昭和3)年9月増刊

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日