ここのつのかぎ
九つの鍵

冒頭文

蜘蛛の糸 「今晩はまったくすばらしかったよ。愛ちゃんが、あんなにピアノがうまいとは夢にも思わなかったぜ。練習しているのを聴くと、ピアノというものは、うるさい楽器だからな」「まア、お兄さん、それじゃ褒(ほ)めているんだか、くさしているんだか、わからないじゃありませんか」 狩屋(かりや)三郎と妹の愛子は、日比谷音楽堂の帰り、まだおさまらぬ興奮を追って、電車にも乗らずに、番町の住居(すまい)まで、歩いて

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年時代」1949(昭和24)年1月~4月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日