おんぱのさつじん
音波の殺人

冒頭文

流行歌手の死 夜中の十二時——電気時計の針は音もなく翌(あく)る日の最初の時を指すと、社会部長の千種(ちぐさ)十次郎は、最後の原稿を一(ひ)と纏(まと)めにして、ポンと統一部の助手の机に投(ほう)りました。 「さア、これでお了(しま)いだ」 千種はガードの熱いおでんと、中野のアパートの温いベッドと——何方(どっち)にしようかと考えて居りました。まる十二時間の労働で、心も身体(からだ)もボロ切れ

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1936(昭和11)年12月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日